石橋秀仁(zerobase)書き散らす

まじめなブログは別にあります→ja.ishibashihideto.net

デザイン法則とデータによる検証(「経験主義」について)

デザインの「法則」は経験的帰納的「法則」であって超越的真理ではない(経験主義的批判)。

だからこそ、より多くの事例で正しさを補強する必要がある。

ただし、事例ごとに前提条件が違うので「法則」のポータビリティ(再現性)は疑うべき。

つまり、あるサイトで「A/Bテストをたくさんやって得たノウハウ」が「法則」と呼べるのは、そのサイト内だけ。別のサイトでどこまで通用するかは、やってみなければわからない。

また、サイトのユーザー集合は経時的に変化する。ユーザーは年をとるし、ユーザーの構成も変わる。だから条件は「何もしなくても」勝手に変化するし、それゆえ獲得した「法則」が通用しなくなることもある。

スマホへのシフトによって「PCでの勝ちパターンが通用しなくなった」みたいな話はどこにでも転がっている。

また、A/Bテストなどのデータ(証拠)がないからといって、普遍的なデザイン法則はおおむね通用する。とはいえ、これについても、やはり、条件の違いが「法則の例外」を生み出すことがある。

事例がなくても理論ができることはある。「人間の身体という物質的制約」からくる「アフォーダンスの制約」にもとづいた演繹的推論で、新たなデザイン法則を導くことはできる。もちろん、経験的に実証されなければならないのだけれど。

というか、iPadが出てきたとき、ぼくら実践者がやったのは、まさにこういう「演繹的推論により仮説をつくり、それを実証すること」だった。

ところで、「セオリー通り」「教科書通り」にやって成果が出ないとしたら、教科書に書いてある「法則」が間違っているか、「法則」の前提条件が一致しないかのどちらかを疑った方がいい。