石橋秀仁(zerobase)書き散らす

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理想の「保存ボタン」

保存アイコン=フロッピーディスクの時代は終わった…? | MEMOPATCH

を見て「保存ボタンとか無くしていこうぜ!」って書こうと思ったらすでに長谷川恭久さんが言及してた:

保存アイコンでみえてくるアイコンデザインの勘違い : could

別の議論で、そもそも「保存」という機能はいらないという意見もあります。私が愛用している Byword も保存という概念がなく、いつの間にか iCloud 経由で同期されているのが好きな点ではあります。しかし、すべての「保存」がこうした自動化がふさわしいのかというそうではありません。バージョン管理のようなコミットというアクションも含めた保存は自動化は適切ではないですし、保存というアクションがあることで利用者が自分で操作をコントロールしているという安心感もあります。

うん、「コミット」の意味論は、人の明示的な操作を要するよね。そういうのは単純な「保存」とは意味論的に異なる操作なのです。なので、ぼくは「保存ボタン」と「コミットボタン」は別物だと考えてる。さらに言うと、「自分にとって意味のあるトランザクションのコミット」と、「他人と共有するためのコミット」など、「コミット」にも何通りかの意味があって(したがって、さらなる呼び分けが必要かもしれない)、一緒くたにできなかったりする。

そして、開発者でもなければ「コミット」操作の機会は比較的少ない。だから、まだまだ無くせる「保存ボタン」は世の中にたくさんあると思う。ぼくは極力「保存ボタン」自体をなくす方向に情報空間をデザインしていきたい。

あと、「同期」という言葉の使い方が誤用だという点を指摘しとく。なぜ誤用かという説明はこれを読めばわかる:

アップルでさえデザインに失敗している「同期」のユーザー・インターフェイス - Zerobase Journal

「保存ボタン」の理想は、それが無くなることだ:

「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない」というアーサー・C・クラークの言葉の意味で、まるで「魔法」のように、「同期をほぼ完全に実現する」に書いた技術はマルチ・デバイス間同期を実現します。ユーザーにとって透明です。それに比べれば冒頭に紹介したiTunes(Mac-iPhone)のデザインは原始的です。

この水準で「理想」を考えて頂けると嬉しい。現代の技術、現代の常識に捕われた近視眼的な「理想」はつまらない。

そして、みらいのふつうをつくるのは、我々開発者の理想なのです。構想力を鍛えよう。

ウェブ×ソーシャル×アメリカ <全球時代>の構想力 池田純一 講談社