石橋秀仁(zerobase)書き散らす

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日本の下流意識が現れている記事→【オシャレ必見】パリコレの凡人を置いてけぼりにしたスーパーファッション18選(画像)

問題の記事:【オシャレ必見】パリコレの凡人を置いてけぼりにしたスーパーファッション18選(画像) | CuRAZYウェブ魚拓

うーむ、こういう記事を書く輩は、端的に言って無教養で下劣だ。パリコレの作品を、このように「単に奇抜(エキセントリック)なもの」として、笑いのネタとして切り出すのは、下劣でしかない。

いろいろと問題点のある記事だ。問題点を列挙していく。

  • 最低限の常識として、作家名や記事ソースへのリンクが必要だ。
  • (前述の理由で)どこから持ってきたか知らないが、写真だけ勝手に転載するのは、著作権侵害だ。
  • 上の二点は、情報リテラシー・情報倫理の観点からも、極めて程度が低い。
  • もちろんアートへの理解・リテラシーもない。

これは、ものすごく階級的なコンテンツだ。階級意識を反映している。下流階級の。

下流階級の人間が、上流階級の人間に対する鬱憤を爆発させている。そういう表象。知性の欠片もなく、愚劣極まりない。

運営者について

なお、運営者は株式会社Bitgatherだ。

代表取締役 伊藤 新之介 取締役 川崎雅弘 取締役 北村 久雄

なんと「企業理念」があるらしい。

コンプライアンス 役員及び社員は国内外の法令やルールを遵守し、人権を含む各種規範、高い倫理観を持って行動します。 また、社会的に有用なサービスを開発・提供するという変わらぬ使命を果たし、お客さまの満足と信頼を獲得します。

やれやれ。

バイラルメディア「CuRAZY」が公開初月870万PVを達成 | 株式会社BitGather(2014年2月13日)だそうだ。そりゃそうだろう。下流意識の琴線に触れる鬱憤晴らしの釣りコンテンツで、ページビュー(PV)を稼ぐ手法だ。そうやって簡単に広告収益を稼いでいるのだ。それが果たして

社会的に有用なサービスを開発・提供するという変わらぬ使命を果たし、お客さまの満足と信頼を獲得します

ということになるのだろうか。違法な著作権侵害で金儲けしてるくせに。まじめに働いてる人々を馬鹿にしてる。「高い倫理観」はどうした。

日本の下流意識

この現象は、もっと大きな文脈で理解しておきたい。これは日本の階級意識(下流意識)を反映した現象だ。

日本は、まだ表向きは「階級社会」ではない。社会制度上の差別は目に見えない。例えばドレスコードなどないようなものだ。

しかし、現実には、すでに階級差別が進行している。下流の劣等感やコンプレックスは噴出しつつある。

日本の階級コンプレックス意識の、いわば代理戦争のネタとして、パリコレという西欧上流階級の表象が使われたのだ。

「人々が思わずクリックしてしまうようなコンテンツを作ることで稼ごうとするネットメディア」は、人々の無意識に欲望に訴えかけるような「釣り」コンテンツを生産する。そして、ネットメディアにとって釣りやすいのは下流層だ。このような釣り手法で成果を上げているのは、この企業だけではない。いくつものネットメディアがそうしている。

確実に日本にも下流意識が広がっており、人々を蝕んでいる。そこには「自分にわからない世界」としての上流階級への憎悪が含まれている。嘲笑の形をとっているとしても、その深層には階層的な憎悪がある。

上述のようなネットメディアはその傾向を助長している。「人々が望むコンテンツを与える」という行為によって。

なお、断っておくが「下流であること」は悪くないし、「下流に応えるコンテンツを作ること」(たとえば「1食100円レシピ」など)自体も悪くはない。問題は、対立・嘲笑・憎悪・悪意を煽るようなコンテンツを作ることだ…と言いたいが、いや、それ以前の問題なのだ。著作権法は守ってほしい。情報を引用するなら、情報源(ソース)へのリンクもつけてほしい。個人が趣味でやってるブログならともかく、商売でやってるならさあ。

その程度のこともやらない企業は、社会にとって有害な存在だ。企業理念やコンプライアンスの宣言を取り下げてもらいたい。というか、消えてほしい。

メディア批判を誰がするのか