石橋秀仁(zerobase)書き散らす

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デザイン・ファームが事業会社に提供できる価値の中核

〔ここでの「デザイン・ファーム」が指す対象は、ある程度狭いことをお断りしておく。ではどういうファームを指しているのかは、まあ普通に読めば分かるはずです〕

戦略コンサルティングの次にやってくる「頭脳」は?』という記事では、「frog designのエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターである、ヤン・チップチェイスさん」の言葉が紹介されている。「デザインコンサル会社の創造性の3つの源」の3点目は、「物事を創造するプロセスについての経験の豊富さ」だと。これはぼくもよく指摘してる点だ。

起業家(アントレプレナー)も、社内起業家(イントラプレナー)も、スタートアップへの挑戦は初めてであることがほとんどだ。3回目という人ですら稀だ。一方で、新規事業プロジェクトを専門にしているこちらは、数十回というオーダーの実戦経験を持っている。いずれ百のオーダーになるだろう。

この「新規事業プロジェクトに取り組んだ実践経験の豊富さ」こそコンサルティング・サービスとしての価値の中核(コア)だ。これを社内調達することはほとんどの事業会社には不可能だ。社内調達可能にするとしたら「新規事業プロジェクト専門チーム」を社内で組織することになるが、事業会社にとっては難しい取り組みだ。

だから、ファームとして事業会社に提供できる価値のコアは、「新規事業プロジェクトに取り組んだ実践経験の豊富さ」だと考えている。ほかの価値は時間の問題でコンテキストになっていくとしても。

余談だが、コンサルティング・ファームが新しい食い扶持としてデザインに目を付けてることには数年前から気付いていて、その感覚が『「デザイン思考」の神秘と欺瞞』という文章の背景にある。「我々こそ『正しいデザイン思考』の伝道師です」みたいな顔したコンサルタントが増えてくるんだろうなあと。