石橋秀仁(zerobase)書き散らす

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「使いやすさ」という英語の不在(?)とデザインの文化的差異

以前から「使いやすさ」に相当する英語の語彙はあるのか、疑問でした。

"usability" は日常会話で広く使われているわけではないようです。テクニカルタームですね。

"Easy to use" という言葉は日常的に使われるようですけれど、これは形容詞句です。「使いやすい」という意味であって、「使いやすさ」という意味ではありません。

"Easy to use" を名詞句にすると "ease of use" になります。ただし、 "easy to use" ほど頻繁には使われていないようです。

"useful" という形容詞はよく使われるはずですが、 "usefulness" はそれほど頻繁に使われないと思います。

日本語の「使いやすさ」という言葉に相当する言葉が、英語の日常語彙の中には、無いのかもしれません。

だとすると、文化とデザインの関係についての考察を促します。

人は言葉によって世界を認識します。言葉は概念です。語彙に無い概念を、人は認識できません。

あるいは、新たな概念を発見したときに、人はその概念に名前を与えることがあります。そうして語彙が増えるわけです。(「世界を分節化する」とも言います)

日本語と英語の間には、「使いやすさ」という概念の有無があるかもしれない。もしそうだとすると、それが原因で、日本語話者と英語話者の間に人工物の評価基準・価値観における違いが生じるかもしれません。同様に、使用前の期待の形成プロセスにおける違いも生じるかもしれません。

「使いやすさ」について普遍的に考えるうえで、「使いやすさ」という言葉が英語(の日常語彙)にあるかどうかは、とても大事なポイントです。

もし英語話者が「使いやすさ(名詞)に相当する英語の言葉を喋っていたら、報告してください!