石橋秀仁(zerobase)書き散らす

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大阪市天王寺区「無報酬デザイナー募集」の失敗は、言葉の使い方・伝え方

天王寺区広報デザイナー無償募集の件(批判への批判)』の続報です。計画中止が決定されました。

大阪市天王寺区は1日、区のポスターなどを民間デザイナーに手掛けてもらおうと、「任期1年、無報酬」の条件で募集したところ、プロのデザイナーらから「業界をバカにしている」などと批判が相次ぎ計画を取りやめた、と発表した。(区が無報酬デザイナー募集…抗議殺到、計画中止

もし自分が実施する側だったとして、反省点を探すことができます。他人の失敗も、他山の石です。

今回の失敗を回避するには、もっと上手く言葉を使えばよかったはずです。

当初の伝え方は、「まだ経験のない学生や、実績のないデザイナーに、名前を売るチャンスを与えます」という読み方をされてしまい、多くの批判を招きました。

本来そういうことは応募する側が自分で勝手に思いつくことですし、前面に出すべきポイントではなかったはずです。むき出しの野心というものは、下品や下世話に受け取られることもあります。

もっと「新しい公共」「プロボノ」「自治体のアート・ディレクション」「自治体のデザイン・ガバナンス」といった価値を訴求すればよかったのではないでしょうか。

「新たな取り組みに関して財政の支出を抑えます」というメリットも、あるにはあるのですが、それは自治体の問題であって、外に向かって訴求する必要はないでしょう。税金を払う市民に向けてのみ訴求すればよいポイントです。(今回の批判の多くは、天王寺区の外からのものでしょう)

このように考えると、今回の計画には成功の可能性がありました。今回批判した人だって、言い方次第では、喜んで参加したかもしれません。「ものは言いよう」ですから。

この計画は、計画内容ではなく、その伝え方によって失敗した、と結論します。